結果の読み方を知って予防医療としての健康診断の基本を身につける
結果の読み方を知って予防医療としての健康診断の基本を身につけるために、予防医療・健康診断・結果・見方の基本を解説します。
健康診断の結果票は専門用語や数字が多く、「A〜Eの判定」「要再検査」「要精密検査」などが並びますが、意味が分からずファイルにしまい込まれることも少なくありません。せっかく時間を作って健康診断を受けても、結果を正しく理解し、適切な行動につなげなければ、その価値は半減してしまいます。
健康診断の結果は、単なる数字の羅列ではありません。それは、あなたの体からのメッセージであり、今後の健康管理の方向性を示す重要な情報です。結果の読み方を知ることは、予防医療の第一歩とも言えます。
多くの方が「判定がBだったけど、これは大丈夫なの?」「要再検査と書いてあるけど、どうすればいいの?」といった疑問を持ちながらも、忙しさにかまけて結果を放置してしまうことがあります。しかし、早期発見・早期対応こそが予防医療の基本であり、健診結果を正しく理解し、適切な行動を取ることが重要です。
この記事では企業・医療機関の担当者として、健康診断結果見方の基本、要再検査意味と対応、結果を予防医療にどうつなげるかを、社員向けにそのまま使えるレベルで整理します。
【この記事のポイント】
- 健康診断の判定は、公益社団法人日本人間ドック学会などの基準をもとにA〜E(またはA〜D・E)の区分で示され、「A異常なし/B軽度異常/C要再検査・生活改善/D要精密検査・治療/E治療中」といった意味を持ちます。
- 要再検査意味は、「数値が一時的な変動か本当の異常かを確認するため、同じ検査をもう一度行う必要がある」というサインであり、要精密検査は「病気が疑われるため、さらに詳しい検査が必要」という意味です。
- 企業には、健康診断後の事後措置として、結果の通知・産業医の意見聴取・就業上の措置・再検査や精密検査への受診勧奨を行う義務があり、これを仕組み化することが予防医療と健康経営の要になります。
今日のおさらい:要点3つ
1. 健康診断結果見方の第一歩は、「判定A〜Eの意味」「各項目の基準値」「要再検査・要精密検査の違い」を理解することです。
2. 要再検査意味は「もう一度同じ検査で確認」、要精密検査は「より専門的な検査で原因を特定」なので、放置せず期限を決めて受診する必要があります。
3. 会社側は、結果を渡して終わりではなく、「要再検査・要精密検査・要治療」の社員に対するフォローと記録管理を通じて、予防医療を組織的に支えることが重要です。
この記事の結論
- 結論として、健康診断結果見方の基本は「A〜Eの判定区分」と「要再検査/要精密検査」の意味を押さえ、数値だけでなく”次の行動”まで読み取ることです。
- 要再検査意味は「一時的な変動かどうかを確認するための再チェック」であり、要精密検査は「病気の有無や程度を詳しく調べるステップ」なので、いずれも受けずに放置することは推奨されません。
- 企業は、健診結果に基づき事後措置(受診勧奨や就業上の配慮等)を行う義務があり、個人は「結果票を読んで終わり」ではなく、「かかりつけ医・産業医への相談」まで含めて予防医療と考えることが重要です。
健康診断の結果は、自分の健康状態を客観的に知るための貴重な情報源です。正しく読み解き、適切な行動につなげることで、予防医療の効果を最大限に発揮することができます。
健康診断結果の判定A〜Eはどう読む?予防医療の起点としての見方
結論として、健康診断結果見方の基本は、「判定区分(A〜Eなど)が”今の状態”と”これからのアクション”を示している」と理解することです。一言で言うと、「アルファベットは”通知表”ではなく、”次に何をするかの指示書”」です。
健康診断の結果票を受け取ったとき、まず目に入るのが各検査項目の判定です。この判定を正しく理解することが、結果を活用する第一歩となります。
判定区分A〜E/A〜D・Eの意味
日本人間ドック学会などが示す一般的な判定区分は、次のように整理されています。
A:異常なし
- 内容:検査結果に特に問題なし。次回の定期健診で経過観察。
- アクション:現在の生活習慣を維持し、次回の健診まで健康管理を継続。
B:軽度異常・経過観察
- 内容:軽微な異常があるが、生活習慣の改善で対応可能。すぐの医療介入は不要なことが多い。
- アクション:食事、運動、睡眠などの生活習慣を見直し、次回健診で改善を確認。
C:要再検査・要経過観察(生活改善)
- 内容:基準値から外れているため、一定期間内に再検査や生活習慣の見直しが必要。
- アクション:指定された期間内に再検査を受け、必要に応じて生活習慣を改善。
D:要精密検査・要医療
- 内容:病気や明らかな異常が疑われるため、医療機関での精密検査や治療が必要。
- アクション:早めに専門医を受診し、精密検査を受ける。
E:治療中
- 内容:既に治療中の疾患がある状態で、そのコントロール状況を確認する段階。
- アクション:主治医と連携し、治療の継続と健診結果の活用を図る。
医療機関によっては、D1=要治療、D2=要精密検査と細かく分ける場合もあります。
要再検査・要精密検査は何が違う?
最も大事なのは、「要再検査=同じ検査で再確認」「要精密検査=別の詳しい検査で原因を特定」と理解することです。
要再検査意味
- 一時的な体調変化(寝不足・飲酒・ストレスなど)や測定誤差で基準値を外れた可能性があるため、同じ検査をもう一度行って再現性を確認する段階。
要精密検査
- 数値の逸脱が大きい、複数項目にわたる、症状や既往歴と合わせて病気が強く疑われる場合に、より専門的な検査(画像検査・負荷試験など)を行って診断を確定する段階。
一言で言うと、「要再検査だから安心」というわけではなく、「”確認が必要な状態”なので、期限を決めて再検査に行くべき」というサインです。
企業・個人が押さえるべき「判定別アクション」
健康診断結果見方を予防医療につなげるには、「判定ごとの標準アクション」を決めておくことが重要です。
- A・B:次回健診までに生活習慣の維持・改善(運動・食事・睡眠・喫煙など)。
- C(要再検査・要経過観察):指示された期間(3〜6か月以内など)で再検査を予約し、結果をかかりつけ医・産業医と共有。
- D(要精密検査・要医療):1か月以内、項目によっては2週間以内など、早めに専門科を受診。精密検査結果に応じて治療や就業上の配慮を検討。
- E(治療中):主治医の治療方針のもと、健診結果を治療調整や生活指導に生かす。
会社目線では、こうしたアクションを「健診結果通知」「産業医面談」「受診勧奨書」「就業上の措置」というフローに落とし込むことで、結果の”活用度”が高まります。
要再検査意味をどうとらえる?「放置しない」ための具体ステップ
結論として、要再検査意味は「現時点で深刻な病気と決まったわけではないが、”本当に問題ないか確かめる必要がある”サイン」であり、放置すると確認の機会を失うリスクがあります。一言で言うと、「要再検査=様子見OK」ではなく、「再チェックの”宿題”が出た状態」です。
要再検査という結果を受け取ると、「大したことないだろう」と放置してしまう方も少なくありません。しかし、再検査を受けることで、本当に問題がないことを確認できれば安心できますし、もし異常があれば早期に対応することができます。
なぜ再検査が必要なのか?(要再検査の医学的な意味)
再検査が指定される背景には、「検査値のゆらぎ」と「測定条件の影響」があります。
- 健診の解説では、要再検査は「一時的な体調変化や日常生活の影響、検査時の偶発的要因により基準値を外れた可能性」があるため、と説明されています。
- 例えば、採血前の飲酒・脱水・激しい運動、当日の緊張や睡眠不足などで、肝機能・血糖・血圧・心電図などの数値が一時的に上がることがあります。
このため、「数値の異常が継続しているのか」「一過性だったのか」を確かめるために再検査が行われます。
要再検査になったときの標準アクション(個人編)
初心者がまず押さえるべき点は、「要再検査=健診と同じ検査をもう一度」というイメージです。
- ステップ1:結果票で「どの項目が」「どの判定(Cなど)で」「どのくらい基準から外れていたか」を確認する。
- ステップ2:健診センターまたはかかりつけ医に「要再検査の項目について相談・予約」を入れる。
- ステップ3:再検査前は、健診時と同様の条件(食事制限・飲酒制限・睡眠)を守り、検査条件を整える。
- ステップ4:再検査結果をもとに、正常化していれば経過観察、続いて異常があれば要精密検査へ進む。
目安として、「3か月〜6か月以内の再検査」が推奨されることが多く、健診施設の案内でもこの期間内の受診が目安とされています。
要再検査・要精密検査を会社としてどうフォローするか
一言で言うと、「結果を渡して終わりにせず、再検査完了までのフォロー体制を作る」のが企業の役割です。
- 健診結果の判定で「要再検査・要精密検査・要治療」が出た従業員に対して、書面やメールで「いつまでに何を受診してほしいか」を明示した通知を出す。
- 受診状況を一定期間後に確認し、未受診者には再度アナウンスや産業医面談の機会を提供する。
- 必要な場合は勤務時間内の受診を認める、就業調整を行うなど、受診しやすい環境を整える。
こうした仕組みは、「健康診断の事後措置」として法令でも求められており、予防医療と法令遵守を同時に満たす重要なプロセスです。
よくある質問(健康診断結果見方・要再検査意味)
Q1. A〜E判定はどんな意味ですか?
A. 健康診断の判定A〜Eは一般に、「A異常なし」「B軽度異常」「C要再検査・生活改善」「D要精密検査・要医療」「E治療中」といった意味で使われます。
Q2. 要再検査意味はどこまで緊急性がありますか?
A. 一時的な変動の可能性があるため「即入院」の状態ではありませんが、数か月以内に再検査で確認すべきサインと考えるのが妥当です。
Q3. 要精密検査と言われたらすぐ病院に行くべきですか?
A. 早めに医療機関を受診し、専門的な検査で病気の有無や程度を確認する必要があり、放置は推奨されません。
Q4. 結果票の数値はどこを見ればよいですか?
A. 検査項目ごとに「基準範囲」と「自分の値」が並んでおり、基準値から外れている項目に判定記号(B〜Dなど)が付いているのが一般的です。
Q5. 要再検査・要精密検査でも仕事は続けてよいですか?
A. 多くは受診しながら就業継続が可能ですが、数値や病状によっては産業医や主治医の意見を踏まえた就業上の配慮が必要になります。
Q6. 健診の結果を見てもよく分からないときは誰に相談すべきですか?
A. かかりつけ医、健診を受けた医療機関の外来、または産業医・産業保健スタッフに結果票を持参して相談するのが推奨されます。
Q7. 会社として健診結果の事後措置はどこまで義務ですか?
A. 健診結果に異常所見がある労働者について、3か月以内に医師の意見聴取を行い、必要に応じて就業上の措置や受診勧奨を行うことが法令で求められています。
Q8. 毎年同じ項目で要再検査になる場合はどうすればいいですか?
A. 継続して異常値が出る場合は、生活習慣の見直しや、より詳しい検査が必要な場合があります。かかりつけ医や産業医に相談することをお勧めします。
まとめ
- 健康診断結果見方の基本は、「A〜E(またはA〜D・E)の判定区分」と「要再検査・要精密検査の違い」を理解し、それぞれに対応する具体的アクションを決めることです。
- 要再検査意味は「一時的変動かどうかを確認するための再チェック」、要精密検査は「病気が疑われるためより詳しい検査が必要」というサインであり、放置せず期限を決めて受診することが予防医療として重要です。
- 企業・医療機関は、健診結果の通知と事後措置(受診勧奨・産業医面談・就業配慮)を仕組み化し、従業員が結果の”読み方”と”動き方”を理解できる環境を整えることで、健康診断を真の予防医療に変えていくことができます。

